カリウムの最新の薬「ロケルマ」についてまとめました。

腎臓内科

赤羽もり内科・腎臓内科の院長の森 維久郎です。

今日は高カリウム血症の新しい薬「ロケルマ」についての解説記事を書きます。

海外の先生から評判も高く楽しみにしていた薬で、実際使ってみて非常に効果が良いです。

この記事はかなり詳しく書いていますので、患者さん向けの記事はこちらで別途まとめました。

ロケルマとは

ロケルマとは、高カリウム血症の薬で2020年5月に発売された新薬です。

いままでのお薬と同じく、腸でのカリウムの吸収を抑える効果があります。

具体的には、腸の中の便に含まれるカリウムを薬の中に捕捉して、栄養素として吸収されないようにして、便としてカリウムを体の外に放出する作用があります。

ロケルマの特徴

ロケルマの特徴は、主に以下の3つです。

  • カリウムの吸着の選択制の高さ
  • 消化管の副作用の少なさ
  • 1日1回の手軽さ

今までのカリウム吸着薬だとカルシウムやマグネシウムも吸着しますが、ロケルマではカリウムだけを吸着してくれます。

これは、微細孔構造という特別な構造を作ることに成功したためとのことです。

また、今までのカリウム吸着薬はポリマー製剤と呼ばれる水分を含むと膨張する薬であり、そのため腹部の膨満感、腹痛などの副作用のリスクがありました。

ロケルマは非ポリマー製剤と呼ばれる水分で膨らまない薬のため、比較的消化管の副作用が少ないのが特徴です。

ロケルマに対する個人的な考え方

現段階で、ロケルマのエビデンスと使用感から以下のように考えています。

  • ロケルマのカリウム吸着率はキレがよく、野菜・果物の制限がなくなった患者さんは結構多い。(これについては過去の臨床研究もある。)
  • ロケルマ5g/日では、副作用も少なくある程度の効果が期待でき、実際多くの患者さんは5g/日で充分カリウムのコントロールが良好になる。
  • ロケルマ10g/日では、消化器症状・浮腫などのリスクが少し増えるが、効果は5g/日よりも期待できる。
  • ただし、ロケルマ自体にナトリウムが入っており、厳格な塩分制限が必要な患者さんには慎重に使った方がよさそう。

個人的には、腎臓病の患者さんでは野菜・果物を制限せずにしっかり召し上がってもらい、代わりにロケルマを飲んでカリウムを下げるという方針を推奨しています。

ロケルマのエビデンス(さらに詳しく)

更に詳しいエビデンスを知りたいという方に向けて、ロケルマの科学的根拠について過去の論文を簡単にまとめました。

Sodium Zirconium Cyclosilicate for Urgent Therapy of Severe Hyperkalemia(NEJM)

2015年にNEJMから出た論文。保存期CKD患者の高K血症に対して、ロケルマを投与し。48時間後及び、12日間のKの値の推移をみた論文です。

慢性期管理というより、急性期の高K血症に対しての効果を見ています。ただしK値6.5meq/L以上の患者や、心電図変化のある患者さんには使用していません。外来でK値6.2meq/Lになってきてそろそろヤバい!みたいなときに当てはめると良いでしょう。

Effect of sodium zirconium cyclosilicate on potassium lowering for 28 days among outpatients with hyperkalemia: the HARMONIZE randomized clinical trial.(JAMA)

2014年にJAMAから出た論文。保存期CKD患者で36%がCKDstage4以降の患者さんに対しての報告。

先程のNEJMの論文と比較して、維持期間を含めて調査機関を28日まで伸ばしているのと、維持期でのロケルマの容量依存性の観察、具体的には1日投与量を5g投与群、10g投与群、15g投与群、placeboと分けて効果をみていることが特徴的です。

短期的な効果については2.2時間で84%の患者の高K血症が正常化したという内容。長期的には、5g投与群で4.8meq/L、10g投与群で4.5meq/L、15g投与群で4.4meq/Lまで低下しており、5.1mEq/L以下になっている患者の割合は、5g投与群で80%、10g投与群で90%、15g投与群で94%でした。急性期だけでなく、慢性期についても調べられており、両者ともに効果が得られているようです。

懸念されていた下痢、下腿浮腫、低K血症などの合併症ですが、容量依存的に起きるものとして、下腿浮腫は15g投与群で生じやすく、低K血症は10g投与群、15g投与群で起きやすくなるが、5g投与群ではあまり起きなかったという結果でした。

ただし15g投与群に関してはもともと心不全、eGFRが低い患者などが多く少し批判的吟味が必要と考えられます。

読んだ印象としては、ロケルマ5g/日である程度の効果が期待でき、副作用についても抑えられている、更に薬価が高いこともあるのでロケルマ5g/日で経過をみてみるのも良いのではないかと考えています。

Open Access Sodium Zirconium Cyclosilicate among Individuals with Hyperkalemia

CJASNから出た論文です。個人的には、一番好きな論文です。

おそらく筆者の意図として、食事制限なし、RAS系阻害薬を投与下でこの薬が果たす効果をみています。

近年、CKDの高齢化に伴い過度な食事制限を控える流れがあり、可能であれば果物・野菜を食べてほしいと考える先生も増えており、個人的に一番知りたかった内容が詰まっている論文です。

12ヶ月間と長期間観察した研究です。ただしオープンラベルなので注意です。(ただしこの点に関しては、逆の効果と解釈できると考える。薬を飲んでいるから、安心して生活習慣が甘くなっているにも関わらずcontrol良好のような・・?)

Efficacy and safety of sodium zirconium cyclosilicate for hyperkalaemia: the randomized, placebo‐controlled HARMONIZE‐Global study

さきほどのHarmonize試験のGlobalバージョン。(ちなみに日本からはJAとりで総合医療センターの腎臓内科の前田先生が参加されている。)

今回は、5g投与群、10g投与群、プラセボで調査をしています。Kが正常化したのは、5g投与群で58%、10g投与群で77%。合併症はやはり、消化管症状と浮腫です。

2014年のJAMAの論文で出てきたLimitationについても言及されており、この論文のディスカッションは非常に勉強になるので一読の価値があります。

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