パンと塩分
前回の食事コラムでは「しょうゆと塩分」について当院の管理栄養士の若子さんと一緒にご紹介しました。今回は、朝食に食べる方も多い「パン」と塩分についてご紹介します。
食パンは塩分が高い?低い?
森 先生
塩分って調味料に多いイメージですが、調味料以外の食品で塩分が高いものってありますか?
管理栄養士 若子
私たちがよく食べる食品で塩分が比較的高いものと言えば、「パン」があげられますね。
森 先生
A)パンですか!僕もよくパン食べますし、朝食はいつもパンですよ。実際にはどれくらいの塩分が入っていますか?
管理栄養士 若子
病院で栄養指導していても、朝ごはんにパンを召し上がっている方が多くいらっしゃいます。私も朝はパン派です。食パン1枚(6枚切り)に0.6gほどの食塩が含まれています。
森 先生
腎臓病の患者さんの減塩目標は1日6g未満なので、食パン1枚食べると1日に摂取する塩分の1割を摂取することになりますね。
若子
そうなんです。ちなみに、食パン1枚とみそ小さじ1杯が同じくらいの塩分です。
森 先生
そう言われると塩分が高い気がしますね。
パンを食べながら減塩するには?
森 先生
パンを食べつつ減塩する方法ってないのでしょうか?
管理栄養士 若子
自分でパンを焼く以外の方法で、食パンを食べるときに減塩するには、食パンに合わせる食材に気をつけることかと思います。
森 先生
バターとかマヨネーズとかのことですか?
管理栄養士 若子
おっしゃるとおりです。食パンってそのまま食べることは少なくないですか?バターを塗ったり、チーズや野菜とサンドイッチにしたりとして食べますよね。
森 先生
たしかにそうですね。しかも、それらに結構塩分が高いですよね。
管理栄養士 若子
そうなんです。食パンの食塩量を減らすことは難しいですが、合わせる食品に気をつけることで、「食事」として考えたときに減塩ができますよ。
森 先生
1品ずつではなく1食で考えるということですよね。パン食で減塩するコツってありますか?
管理栄養士 若子
まず、バターを無塩バターにすることです。本当に微々たる変化ですが、こういう小さな積み重ねが減塩につながりますよ。私も自宅では無塩バターを使用しています。有塩バター10gあたりには食塩が0.2g入っていますが、無塩にすれば0gです!
森先生
それはすぐにできる方法ですね!ほかにはありますか?
管理栄養士 若子
例えば、チーズを入れてサンドイッチを作るとき、スライスチーズを使用する方が多いかと思います。でもスライスチーズ1枚あたりの食塩は0.5gですが、同量のクリームチーズにすると0.1gほどになります。
食パンに野菜と一緒にスライスチーズを挟むのではなく、食パンにクリームチーズを塗ってから野菜を挟めば、いつものサンドイッチも簡単に減塩できます。
森先生
チーズの種類で塩分量が異なるんですね。患者さんもすぐに取り入れられそうです。
管理栄養士 若子
1日の塩分を6g未満にしようとすると、朝食2g・昼食2g・夕食2gと考えることもできますが、朝食1.5g・昼食2g・夕食2.5gなど、食事によって幅をもたせるのも方法だと思います。
朝食をパンにするなら、食パン+クリームチーズ+野菜+ツナなどのサンドイッチに果物、牛乳や豆乳などを合わせれば、塩分1.5gほどでおさまるかと思いますよ。
パンの種類によって塩分は違うの?
森先生
食パンについて話をしてきましたが、ロールパンやフランスパン、クロワッサンなど、パンの種類によって塩分量って異なりますか?
管理栄養士 若子
はい、おっしゃるとおりパンの種類によって塩分量は異なります。
クロワッサン1個(40g)で食塩 約0.4g、ロールパン1個(30g)で食塩 約0.4g、フランスパン2cmスライスが2切れ(40g)で食塩約0.6gです。
森先生
食パン1枚に食塩0.5gと聞いたあとで、違うパンの塩分量を聞くと、食パンが優秀な気がします。フランスパンは特に塩分高いですね。
管理栄養士 若子
そうなんです。さらに、コンビニ等に売られている調理パン等は1個あたりの食塩がさらに多くなる傾向があります。でも、このようなパンには食塩相当量が記載されているので、まずは確認する習慣を付けられると良いですね。
森 先生
やっぱり減塩には食品表示を確認することが大切ですよね。慣れるまでは少し手間かもしれませんが、確認する習慣が付けば確認するのが当たり前になりますね。
管理栄養士 若子
そう思います。コンビニやスーパーに売られているパンの食品表示を確認する習慣を付けて、自分がいつも食べているパンの塩分量を知ることは大切なことだと思います。パン食でも減塩する方法はたくさんあるので、ぜひ、いろいろと試してみられると良いと思いますよ。
森先生
減塩のためには、パンの塩分量を確認すること、合わせるバターやチーズの種類に気をつけることをご紹介しました。1品ずつではなく1食や1日として塩分を考えることで、楽に減塩できますね。次回は「ラーメンと塩分」についてご紹介します。
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